衝撃の価値

ディープインパクトが走りました。

で、春と同じようなレース展開で同じようにあっさりと勝ちました。
どういう勝ち方というと・・・、


1、スタートはスムーズではなく後手
2、最後尾近くをゆっくりと馬群をみながら追走
3、3コーナー過ぎで大外をスーっと上がっていく
4、4角出口で先頭に並ぶ
5、チョット気合を入れると瞬時に反応、あっさり抜け出す
6、武豊は最後は流して余裕でゴール

以上です。


他の馬との能力差は全く埋まっていませんでした。というより、殆ど全部が勝負づけが済んでいる相手ですからなおさらです。出てきたメンバー中もっとも順調さといい意味での余裕残しの作りでしたし、仕様がありません。

このままでいくと菊花賞もどうせスローに流れるだろうから実質2400mの競走になりそうだし、3冠は確実かと思います。馬券は3連単もただの連単と変わらないかと思います。


で、この馬の凄さについて思ったことをチョットだけ。
未だに底は見せていないのは事実なんです。目一杯追ったと思われるレースは弥生賞だけ。
あとは上記のレース展開ばかりです。それで目に付くのが次元の違うスピードなんですが、「凄いなあ」と思うのは、最後の突き放しかたではなく、上記3の3〜4コーナーでの上がり方です。今まで見てきた馬でも、ああいった上がり方をするタイプはいましたが、与えるイメージが違います。今まで馬では「ギア」を上げていったという感じを受けてきました。
それこそトルクの違いこそあれ大体がそうです。
かつて南井が同時期に活躍した、2頭の名馬の両方に騎乗したことがあればこそのコメントがありました。

タマモクロスはF1マシンのようだった。合図を送るとスッと加速する。オグリキャップは反応にワンテンポの間があってから、バリバリバリという感じで加速していく。ターボつきの四駆みたいに」


ディープはどうもギアがあがっていくという印象を受けません。アクセルワークだけであがっていけるんじゃないかと思います。4角ではさすがに1段ギアが上がっているようですが、それでもあと1.2段は余裕がありそうです。
もしくは3速からいきなり5速にあげても回転数が落ちないで加速できているんじゃないかと思います。とにかく反応が早く、ロスがない。これはつまり不利を受けにくいということです。
じゃあ、無敵じゃないかー、というとこれがそうでもない。不安な面はどこかというのはあとで書きますが、ここではとりあえずギアの話を続けます。

距離適正はあるんですが、それぞれのレース運びからすると大きくタイプは3つに分かれると思います。あと基本的に強い馬というのは、そうでない馬との差は排気量そのものだと考えていいと思います。無論、気性の問題とかもありますが。

まず一つめ、ギアが4段のタイプ。
これは一般的な名馬です。タイプとしては先行・差しが多いです。極端な戦法は取りません。いい位置に付けておいてあとは排気量の差で勝負するタイプ。
トウカイテイオータマモクロスエルコンドルパサークロフネなどがそうでしょう。
このタイプではトップギアのトルクのある・なしでスピードタイプかパワータイプかの違いが出ます。上記の前2頭がスピードタイプで後者2頭がパワータイプですか。


で、二つ目、ギアが3段のタイプ。
これは切れ味に欠けますが、スピードが持続するタイプ。いわゆる「いい脚を長く使える」というやつです。メジロマックイーンライスシャワーなど長距離適正の馬に多く見られるタイプです。短距離だとちょいと古いですが(私が昔の競馬しか知らないため)、タイキシャトルなんかもそうですね。馬券的にはおいしいというか、大崩れしません。


で、最後にギアが2段のタイプ。
これは極端なレースをします。逃げか大外一気というやつです。追い込み馬の殆どがこのタイプ。気性的な問題もあり、2段のギアしか使えないのでどうしても自分でレースを作れません。だから、1段目のギアで回転数が上がりきらないようなスローの競馬では負けてしまいます。代表的な馬として、ヒシアマゾンデュランダルサッカーボーイ

あと逃げ馬もこのタイプが多いようです。追い込みばとの違いは1段目のトルクが長いということ。ただアクセルワークが難しいのであっという間に回転数があがってしまう可能性があります。それが逃げつぶれ。馬ではミホノブルボンカブラヤオー(古っ)、サイレンススズカ
あ、ちなみにサイレンススズカは1段目2段目の両方のギアがそれぞれ、他の馬の2段目、4段目に匹敵するスピードがありました。あといわゆるテレビ馬というやつは2段目のトルクが非常に細いやつです。
あと、実力以上に人気の出るのもこのタイプですね。


まあ、「レース運びとそのスピード経緯からうける印象による分類」ではこうなります。

で、ディープは今のところ1のタイプで、まだ排気量がわからないが相当ありますよ、というのが今のところの感想。で、まだ4段目のギアを使っていないか、4つ全部を使っていないのでしょう、と。

あと、不安点について。こういう反応のいい馬ってのは、勝手にギアがあがってしまう可能性があるということです。
今のところ馬群にもまれる競馬をしていないから(する必要がないから)わからないのですが、案外と馬群に包まれた場合にそうなってしまう可能性が否定できないということ、古馬との対決でも道中を最後方追走の競馬に徹底できるかということとか、(圧倒的排気量差があるのがわかっているから)不利を受けないように後から走っているが、逆に反応が良すぎるので先行していないんじゃないかとも、見れることなんかがあります。


まあ、長々と書きましたが本当のところはあと1年くらいしないとわからないんじゃないかと思っています。とにかく無敗で3冠というのをやって欲しいのですが、同時に負けなくてもいいから、どこか来年以降に「負けるかもしれない」と思える要因を見せて欲しいのも事実ではあります。




だって、そうじゃなきゃ来年以降の重賞が全部今年のオールカマーみたくなっちゃうでしょう。




あんなのは今年の天皇賞(春)だけで十分ですよ。淀長距離ステークス(GⅠ)。