屋久島に行った話3

一生懸命働く人たちを存分にからかって、すっかり気分がよくなった私は、そのまま1時間ほど昼寝をしたあと再び歩き始めた。しかし、酔いもまわって歩くこと自体が面倒になってしまった。「車で移動しようかな・・・」そう考えたときには車道に出て片手をあげていた。そう、ヒッチハイクである。「すぐにつかまるといいなぁ〜」とのん気に考えていると、さすがは観光が盛んなところ、10分ほどで1台の車が止まってくれた。乗せてくれたのは40代前半位の女性だった。
「どこまで?」
「フェリー乗り場まで乗せてもらえればバスとかあると思いますので御願いします。」
酒臭い息をプンプンさせた真っ赤な顔をした男をすんなりと乗せてくれたオバちゃんありがとう!島の人は優しいね。

フェリー乗り場に着いてすぐバスに乗ることができた。「とりあえずキャンプ村にでも行って今日の寝床でも確保するかぁ」とほとんど乗客のいないバスに揺られながら鼻歌交じりの上機嫌のヨッパライ。渋滞なんかもないのでバスもスイスイ進みます。で、バスの料金メーターを見ると驚くほどに料金が上がってる。田舎道を誰にも邪魔されずにズンズン進んでいくバスに乗ってるだけでこんなに料金を取られているかと思うと少しバカ臭くなり、適当なところで降りることにした。でも目的地のほとんどそばまで来ることができた。
キャンプ村に入って管理人のところで手続き。好きなところにテントを張っていいとのこと。広ーい芝生の広場には2組の先客があるだけ。管理人も暇そうだ。幸い炊事道具も持って来ていたのでオプションで借りるものは一切なし。のろのろとテントを張り終えると(2分で建つ)、夕食の材料を買いにそばの商店に行くことにした。ここでもビール購入。こんな気分のいい島では飲むしかない。飲まずにいられない。晩飯は作るのも面倒なのでツマミを買って済ませることにした。
本格的に酔う前に先客のテントに行き御挨拶。話を聞くと京都の大学生の人で、夏休み中ここでテント生活をして、ちょくちょく島の山に登りに行っているとのこと。山を登っては戻ってきて、何日か休んだらまた登るというのを繰り返しているんだと。自炊する分には大して金もかからずひと夏過ごせるんだそうだ。気が向けば海に行ったりしているとのこと。真っ黒に日焼けしてしていた。
彼らの言うには以前海に行きペットボトルを使ったワナを仕掛けたらイセエビみたいなでっかいエビが取れたという。あと、時期があえばウミガメの産卵も見れると言っていた。北海道で見れるのはトドくらいだもんなあ。

自分のテントに戻り、ビールをチビチビ・ゴクゴクやってるとそのうち酔いが本格的にまわってしまい、読んでいた文庫本もその辺に放り出して眠ってしまいました。まだ夕方の6時くらいだったはずです。波の音が気持ちよかったことだけ覚えています。

月光の屋久島

月光の屋久島